50代、60代で起業を検討されている方は、早期退職か定年退職をされた方が多いのではないかと思います。
私が行政書士になって、初めての仕事が50代の方が起業するにあたっての株式会社設立の仕事でした。39歳という30代最後の年に起業した私にとって、当時は50代や60代で起業するのは遅すぎると思っていたのですが、現在では違う考えになっています。
50代、60代の方々は長いサラリーマン生活の中で、勤めていた業界に関する広い知識と人脈をお持ちです。これが即戦力になるのです。ですから、今では50代、60代の方は、実は起業に大変向いていると思っています。
ただし、それまでの経験の長さや会社での地位が原因となって、気をつけなければ失敗してしまうこともあります。
それでは、50代、60代からどのように強みを生かして起業するのかを見てみましょう。
未経験分野でも起業は出来る!
経験の無い分野では起業は出来ないと思われる方がほとんどですが、そんなことはありません。
私は39歳の時に未経験で旅行業の会社を一人で設立して、45歳の時に不動産の事業も始めました。
旅行業も不動産業も全くの素人。
不動産業というと「お金が無ければ出来ない」「リスクが大きい」と思われがちですが、そんなことはありません。
仲介といって、売主と買主(又は貸主と借主)を紹介して、その紹介料をもらうだけですから、取引において必要経費以外のお金はかかりません。
土地を買い取る必要もありませんので、仲介だけであればリスクも非常に小さいのです。(但し、説明不足などで問題になる可能性はありますので、必ず保険には入ります)
私自身の経験は『未経験で始める「初めての不動産業講座」』でも書いていますので、ご興味のある方はご覧頂けましたら幸いです。
あなたも新入社員の頃や部署の異動の時を思い出すと判ると思います。
新入社員でいきなり貿易部署に配属されて海外とメールのやりとりをしなければいけなくなった時でも、技術部から営業部に異動になって毎日商談をすることになった時も、そのうちなんとかなりましたよね。
たいていの仕事は数ヶ月やっていると、なんとなく出来るようになるものです。
それと同じです。
ただ、それをサポートしてくれる仲間を見つけるということがポイントになるかと思います。
50代、60代で起業をする時の3つのポイント
それでは、50代、60代で起業をする場合に気をつける3つのポイントをみてみましょう。
【POINT 1】人脈を活かす
50代、60代で起業をお考えの方は、企業に勤められていて、早期退職をされたか、定年退職後に新しい人生としてご自身で何かやってみよう、と思われた方が多いのではないかと思います。
50代、60代というのは、起業をするには遅すぎるのではないかと思われがちですが、決してそのようなことはありません。 むしろ、今までの経験、知識や人脈があるので、若くして起業するよりも、うまくいくケースも多いのです。
サラリーマン時代の人脈とは
「『人脈』なんて言われても、自分にはそんなに知り合いもいないし・・・」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはあなたが思っているだけで、実はあなたの起業に大きく活かすことができる人脈をお持ちかもしれないのです。
例えば、あなたが食品商社に勤められていたとします。数十年勤められてきた間に、食品メーカー、原材料メーカー、同じ商社の2次店など、いろいろな立場から食品に関する会社の知り合いが出来たと思います。
サラリーマン時代の食品商社で小豆や冷凍食品のように自分が担当する商品の売買という立場でしか仕事ができません。
しかし、新たに起業したあなたは、食品に関するさまざまなビジネスを考えて、それまでとは違った自由な立場でビジネスが出来ます。
今までは売る立場だったのが、新しく買う立場として交渉したり、逆に買う立場だったのが、新しく売る立場として新商品の提案をしたりすることも出来るのです。
ただ、どんなに素晴らしいアイデアがあっても、一から食品に対する知識や食品業界にいる人達と知り合うようになるのは、大変なことですが、今までの経験と人脈を活かせば、既に商売の土台となる部分は出来ているので、一から売り先を探す人に比べて格段の優位性があります。
このように今までの知識と人脈といったものは、大きな武器となるのです。
人に頼らない
「人脈を活かす」というと、知っている人に頼んで買ってもらうとか、商売を紹介してもらう、と勘違いされる方がいらっしゃいますが、これは大きな間違いです。
人間というものは、先に頼って来る人を助けません。がむしゃらに頑張って頑張って努力する姿をみて、やっと「少し何かしてあげたいな」と思うようになるものです。先に、相手に利益を出してもらって、その3回後に自分のところに利益がくればいい、というくらいに考えておいた方が良いと思います。
「ギブ&テイク」ではないのです。「ギブ&ギブ&ギブ&テイク」なのです。
つまり、相手に与えて、与えて、与えてからやっと自分がもらえるのです。
「そんなことまでしないといけないんだったら、人脈でもなんでもない」と思われるかもしれませんが、通常、起業してすぐの人は、その「与える相手」さえいないのです。サラリーマン生活で人脈を持ったあなただからこと、「与える相手」を持ってスタート出来るのです。
「相手は会社から毎月給料をもらって安定しているのに、なんで給料もない自分が先に与えなきゃいけないんだ」と思ってはいけません。それが起業をしたということなのです。自分が利益が欲しければ、利益をくれる相手に、まず儲かってもらうことが鉄則なのです。
考えてみて下さい。
勤めている場合は、どれだけ成果を上げても、給料に上限がありますが、起業をして成功した場合の給料の上限はありません。つまり成功した場合は、あなたの方が、はるかにメリットが大きいのです。
ですから、人には頼らず、逆にその人に喜んでもらうことで、最終的に自分の利益になるように頑張り続けることが、実は収益への一番の近道なのです。
【POINT 2】リスクを抑える
20代、30代の起業と比べて大きく異なる点は、50代、60代の方は経済的環境が恵まれている点です。
それまでの貯金や退職金などの貯えに加えて、年金の受給までの期間や、お子さんがいらっしゃる場合でも独立されているか又は数年で独立という方が多いと思います。
つまり、若い頃に起業した場合と比べて、圧倒的に稼ぐ金額の目標を下げることが出来るのです。ということは、無理にリスクを負うよりも、規模は小さくても安全確実な商売を目指すことが重要です。
借金をしない
50代、60代で起業をする場合、リスクを負って稼ぐよりも、現在の貯えを出来るだけ減らさないようにすることが重要です。
ですから、現在の資金に加えて、お金を借り入れてまでするビジネスは注意が必要です。
うまく収益になる相当高い可能性がある場合は別ですが、まずは自分の手持ちで使えるお金の範囲で始めることをおすすめします。
お金をかけずに自分で出来ることはたくさんあります。自分でチラシを作って、自分で配れば、チラシの印刷代だけですみます。印刷代もインターネットで安いところを探せば、びっくりするくらい安いところがあります。
起業当初は時間はたっぷりあるというケースが多いので、お金は使わずに、その時間でご自身で何が出来かを考えるのも起業の楽しみの一つです。
固定費を抑える
早期退職して起業する時に絶対にしてはいけない5つのポイントでもご紹介していますが、人を雇ったり、高い家賃のところを借りるといった、固定費がかかることは本当に必要なのかを十分検証する必要があります。
一度人を雇うと簡単には解雇できません。
毎月大変な金額の固定費が発生します。
その固定費に見合うだけの収益が本当に見込めるのかを精査した上で、決められるのが良いと思います。
登記が可能であれば、最初は自宅兼会社事務所にして、一人で始めて、収益が出来てから人を雇っても遅くはないと思います。
仕入が無い商売を考える
50代、60代の方であれば、今までの経験を活かしたコンサルティングや人脈同士をつなげるマッチングビジネスも出来ると思います。
私自身もネットショップで販売しているので判るのですが、「在庫」は本当に大きなリスクでもあります。さらに掛売りがある場合は、資金繰りの問題もありますし、販売先の倒産というリスクもあります。
仕入の無いビジネスというのは、リスクは小さい分、利益も出しにくいという面がありますが、大きく儲けを出さなくても良いと考えられている50代、60代からの起業家の方にとっては、十分ご自身の強みを活かせる分野だと思います。
【POINT 3】仲間を増やす
私の場合、起業当初はずっと一人で黙々と作業をしていたので、仲間と呼べるような人はいませんでした。
もちろんサラリーマン時代の友人はたくさんいるのですが、やはり、サラリーマンと起業をしている人間では、将来に対する考え方や仕事の目標も違ってくるので、仕事の話しになると、かみ合わない事が多くなりました。
そんな起業当時に私が起業仲間を増やして行った経緯をご紹介します。
セミナーの活用
起業当初はお金もなく、仕事として会う人もいなかったので、気晴らしと勉強を兼ねて、大阪産業創造館のセミナーによく参加していました。
ここは大阪・関西の中小企業を支援している機関で、低料金でいろいろなサポートやセミナーを開催していて、本当に助けてもらいました。
ここの「あきない・えーど」という無料相談を利用して、当時旅行会社として立ち上げた「和菓子ツアー」のホームページを見てもらいました。
その時に専門家として相談にのって頂いたYさんは、WEBの知識も深く、株式会社を経営しながらセミナー講師もこなしている素晴らしく優秀な方です。(今でもお付き合いさせて頂いています)
そのYさんから、京都で起業されている方をご紹介頂き、早速連絡をしました。初めて会った時から仕事の話題で盛り上がり、意気投合しました。
この方とも今でもお付き合いをさせて頂いています。
そして顧問税理士の紹介で知り合った方から誘われたセミナーに参加して、知り合ったのが、現在一緒にWEB制作会社を経営している女性です。
人と知り合うことを目的に参加するのではないのですが、セミナーに参加して意外なところから知り合いが増えるということもあります。
サラリーマン時代の友人
サラリーマン時代の会社の同僚や上司部下はもちろん、多くの取引先の方とも現在でもお付き合いをさせて頂いています。
私が23歳で会社に入社した当時、いろいろお世話になった十数歳年上の取引先の方がいらっしゃるのですが、その方は現在起業をされて、今でも良く一緒に飲みに行きます。
仕事の面でもお仕事を頂いたりお世話になっています。
また、別の方は同じような50代、60代で起業したメンバーを定期的に集めて飲みに行く会を開催されていて、その会にも呼んで頂いています。
この会に参加されている方々は私の仕事とは直接関係の無い方々なのですが、同じ経営者としてお話するのはとても楽しく勉強になります。
サラリーマン時代には挨拶をする程度の関係だった方でも、起業をした後に助けて頂いて本当に感謝したようなこともあります。
そのような経験をすると、知り合いになった人は好きとか嫌いではなく、その人と出会えた事に、まず感謝をしなければいけないなあと、つくづく思います。
仲間と楽しく付き合う
せっかく知り合った仲間ですから、とにかく楽しく付き合うことが大事だと思います。
「あの人は以前うちの会社の下請けだった」とか「私は○○の部長でした」というような上から目線で付き合うと、みんなあなたのことを避けてしまうようになります。
起業をしたからには、大きな会社でも小さな会社でも同じ経営者です。
起業仲間と飲むお酒は本当に美味しくて楽しいものです。
是非楽しい仲間をたくさん作って、厳しくもあり楽しくもある起業人生を進んで行って下さい。
ブログの活用を考えてみる
中国の視察関連のツアーを本格的に取り組んでいた時、当時流行していたアメーバブログ(アメブロ)で中国関連の記事を書いていました。
2010年頃は中国進出する企業も多く、中国向けのビジネスに関して記事を書いている方々もたくさんいらっしゃいました。
関西でも中国ビジネスに関する本を出版されていたブロガーさんも何人かいて、そういった人達が集まるオフ会も開催されていました。
その中の一人の方が、私のブログを見て、声をかけて頂き、私も何度かその会に参加し、他の中国ビジネスに携わる方々もご紹介頂きました。
やはり、同じ分野で活躍されている方とお話をするのは刺激にもなり、勉強にもなります。
その後2012年の尖閣諸島の問題から、急激に日中関係が冷めて、ビジネス環境も厳しくなり、その中のメンバーの多くは私も含めて中国ビジネスから他のビジネスに展開するようになっています。それでも、現在でもその当時に知り合った仲間とはビジネス上でのお付き合いも続いています。
最近では、「民泊の教科書」というブログを始めて、このブログ経由でかなりの問い合わせが来るようになっています。
私がおススメするブログの勉強方法
今読んで頂いている記事も「ブログ」として書いているものです。
ブログというと日記のようなイメージがありますが、最近はビジネスとしての情報発信の有益なツールとして使われているケースも多いのです。
何よりも、コストがほとんどかからないことが嬉しいです。
しかし、ブログは、ただ思った事を書くだけではビジネスには使えません。
私もブログの作り方や使い方を独学で勉強しました。
その後、https://junichi-manga.com/ のブログマーケティングスクールというところに参加して、勉強したりもしました。
このブログスクールはフェイスブックでの参加だったので、主催されているJUNICHIさんとは実際にはお会いしたことはありませんが、この方は素晴らしい人柄だと思います。
メンバーへの対応などを見ていても、本当に親身になってサポートされているのが伝わってきました。
サイトには変わった表情の写真をたくさん掲載されていますが、JUNICHIさんの記事を読んで頂くとJUNICHIさんの人柄が伝わってきますので、是非読んでみて下さい。
JUNICHIさんのサイトを見て頂ければわかるのですが、ノウハウを惜しみなく(無料で)公開されています。
しかも専門的なことも非常にわかりやすく書かれているので、「読み手にわかりやすく」ということを心掛けて記事を書かれているのが良くわかります。
この「読み手目線」で記事を書くことが、ブログをビジネスとして使うためのポイントになるのです。
JUNICHIさんにコンサルを依頼されたり、スクールに入られたりした方が効果は早いと思いますが、サイトの記事をじっくり読むだけでも、ブログに関しては相当な知識を得ることが出来ると思います。
でも、コンサルやスクールの内容を無料で記事で書いちゃったら、なんでコンサルをお願いする人がいるの?って不思議に思いますよね。
実は、このJUNICHIさんのように「有益な情報を公開すること」が成功するポイントなのだと思います。
あなたがブログをビジネスのツールとして使おうと思われるのであれば、サイトを見る人にとって有益な情報を発信することが、成功する一番の近道になるのです。
たとえ無料で発信する情報でも手を抜いてはいけません。
長くなるので別の機会に書きたいと思うのですが、人のためになることを本気ですると報われる(ビジネスとして成り立つ)のです。
不思議な気もしますが、本当にそうなのです。(私も実感しています)
あなたが「サラリーマン時代に得た知識や経験を他の人のために活かす」には、どんな情報を発信すれば良いかを考えてみて下さい。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「今までずっとサラリーマンだった自分が起業なんか出来るのか」と不安に感じられることもあるかもしれませんが、この記事を読んで頂いてサラリーマン時代の経験が武器になるといことをご理解頂けたかと思います。
今まで知り合った人達や、起業後に知り合う人達との関係を大事にされれば、きっと楽しい起業人生を送られることと思います。