簡単に参入出来るビジネスは、みんなも参入しやすい

起業をしてから、ある程度定期的に売上が出てくるようになると、「小さな売上ばかりでは、手間だけかかって利益が出ないから、利益率が高くである程度金額が高いものを提供する商売をしなくちゃ」と思う時期がくるかもしれません。

実際、私も起業当時は「どれだけ手間がかかっても、どれだけ少額でも、とにかく売上が出ればいい」と思っていましたが、売上が増えていくにつれて、小さな商売は売上も利益も小さいので、金額も利益も大きな商売を目指そうと思うようになっていました。

確かに販売価格が高くて、利益率の高い商品であれば、収益は良くなりますが、「高収益」という理由だけで、事業内容を決めてしまっていいのでしょうか?  

 

高収益事業は大手との戦い

これも私の失敗談になるのですが、中国の視察ツアーを実施していた頃に、当時上海に10万人いると言われていた日本人駐在員向けに日本料理店やエステ、美容院、語学学校などを紹介する「ちゃいこみ」というポータルサイトを運営していました。

このポータルサイトは月間40万PV程の中堅程度のポータルサイトになってきたのですが、大手企業が次々と同様のサービスに参入してきて、あっと言う間にアクセスが激減してしまいました。

大手企業は従業員も多いので専門のライターが毎日記事を書いたり、各地にインタビューにいって写真を撮ったりと、とても私の会社では勝負が出来ませんでした。

更には2013年以降に日本人駐在員が急激に減り始めて、店舗の閉店開店のサイクルが日増しに速くなってきました。そうなると、掲載している店舗情報を頻繁に入れ替えなければ情報サイトとしての価値が全くなくなってしまい、結局2013年にサイトを閉鎖しました。

この時に、大手が参入してくるようなビジネスには、もし先行して参入していたとしても、あっという間に潰されてしまうので、大手と同じ土俵には上がらず、同じ分野でも1点に特化して差別化するようなビジネスをしなければいけないなと、つくづく感じました。  

 

簡単に参入出来るビジネスは、みんなも参入しやすい

簡単に参入出来るビジネスは、みんなも参入しやすい

またまた、私の失敗談なのですが、2012年頃にiphone5のスマホカバーがまだかなり高額で販売されていた頃に、中国で安く仕入れてネット販売をしようとしたことがありました。

確かに高額で利益率もものすごく高い商品だったので、売り始めてすぐの頃は、「これだけで将来十分食べていける!」と思いました。

が、しかし、数カ月もしない内に、同じように中国から仕入れて販売する業者が雨後のタケノコのように出てきました。こうなると熾烈な価格競争の始まりです。

次第に販売価格も利益率も下がり、ついに100円均一でクリアカバーが出てきたのです。

そうなっては、利益はなくても在庫をどれだけ処分できるかということになり、ビジネスとしては終了です。

私は当時iphoneも持っておらず、スマホカバーに関しては何の興味もありませんでした。売れると聞いて、「簡単に仕入れが出来るからやってみよう」と思って始めたのです。

ここで、教訓になったのは「自分が簡単に参入出来るビジネスは、他人も簡単に参入出来る」ということです。

何か、自分だけの強みが少しでもなければ、資本や物流など他で強みを持っているところに勝つことは出来ません。

流行に流されて自分の得意分野と関係の無いところで勝負してしまわないように、事業を始める前には十分に検討をする必要があると痛感しました。  

 

脇役商品に目を向けて見る

どんなことよりも割り箸の値段を下げる事に時間をかけている日本料理店の経営者の方はいないと思います。

割り箸はコストダウンが出来ても1膳あたり、せいぜい数十銭だと思いますので、そこを1万膳分コストダウンしても、数千円にしかなりません。

同じ時間をかけるのであれば、商売の根幹となる部分のコストダウンや品質向上に時間をかけるでしょう。

この割り箸と同じように、商売をする上で必要ではあるけれど、時間をかけてコストダウンの交渉をするほどのものではない、と考えられているものは結構たくさんあるのだと思います。

この「必要ではあるけれど、時間をかけてコストダウンの交渉をすることの少ないもの」こそが、ビジネスチャンスになることがあります。

私がサポートさせていただいている会社では、名刺や封筒のデザイン・印刷・作成を請け負っています。

オリジナルのデザインと小ロットの注文でも、価格は大手で名刺を依頼された場合よりも安い設定をしています。

例えば名刺100枚の依頼で利益は数百円です。

封筒にしても同じようなものです。

オリジナルのデザインで小ロットでの制作の手間を考えれば、この金額でお受けするのは厳しいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

大手の場合は人件費などの固定費が大きいので、利益が小さいものは手を出すのが難しいというケースも多いと思います。

大手では採算が合わないものでも、小規模事業者であれば採算が合うものもあります。

大手が手を出してこないくらいの利益で手間がかかるもの」という視点でみると、手間が掛かる仕事でも赤字にならないというのは小規模事業者の強みとも言えます。

例えば、名刺にしても100枚で数百円の利益ですが、1つの会社に数名の社員がいらっしゃれば、その分注文が増えます。

100名分、500名分、1000名分となると数十万円の利益となります。

数十万円というのは大手にとっては魅力の無い金額ですが、小さな会社にとってはそれなりの安定収入になってきます。

封筒にしても同じです。

特に長3と呼ばれる封筒は、請求書などを送る時に使いますので、毎月一定量消費されます。

そうなると、こちらも安定した収入源になってくるのです。

こういった「脇役商品」に目を向けて、何か商売が出来ないかを考えてみるのもおもしろいと思います。  

 

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、高収益にこだわらず、あまり注目していない脇役商品をターゲットにしたビジネスを考えてみましたが、本質は「自分のフィールドを作って、そこで戦う」ということだと思います。

これは、そんなに簡単に出来るわけではないので、試行錯誤しながら、一人一人違ったフィールドを作り上げていくのだと思います。

起業をして、こういった失敗をしても、それは教訓として次の商売に活かしていけばいいのです。

それこそが、起業の楽しみなのだと思います。