私は以前中国関係の仕事をしていたこともあり、中国側から「こんなものが欲しい」というような依頼をよくもらいます。
例えば、少し前であれば紙オムツ、粉ミルクなど、ニュースでも伝えられていた中国で品薄になっている商品です。その後にはドラッグストアーで目薬とか、食べ物でいえばフルーツグラノーラとか、以前の商品とは何の関係も無いような商品を次々と見積もりの依頼をされました。
中国側の話しだけを聞くと、仕入れればドンドン売れるので、どこか仕入先を探して早く仕入れるのが良いようにも思えます。
もし、あなたが私の立場だったら、どうするでしょうか?「中国にも販売するルートがあるから、人気商品を仕入れて中国で売る仕事をしようか」、と思うでしょうか?
流行は追わない
私は今まで深く考えずに流行を追って何度も失敗してきているので、今では流行商品は追わないようにしています。
例えば、紙オムツ。
私は紙オムツ業界の事は全く判りません。ですから紙オムツの仕入先を探して仕入れたとしても、当然、仕入値は高くなります。卸売りとなると、ある程度の数量を購入しなければいけないという場合もあるでしょう。そうなると、在庫としてのリスクが発生します。
いくら中国側が全量買い取ると言っていても、仕入れた後で「やっぱりもう売れなくなったから、いらない」とか「各社の在庫がダブついて、価格が下落しているから、以前の提示価格では買えない」というような事を言われる可能性も十分あります。
特に一時的に流行した商品というのは、流行が過ぎ去るのも早いものです。
ですから、既に流行している時に、新規で参入するのでは遅すぎるのです。
業界のプロと戦う武器をもつ
先程の紙オムツの例でいきますと、当然ですが、何十年も紙オムツ業界で商売をされていて、流通も仕入先も仕入価格も方もしっかり確立されている方が沢山いらっしゃるわけです。そういった方々には「中国で売れる」という情報は、一般の人よりも早く入ります。
流通も熟知して、仕入値も安く、安定して仕入れが出来る「業界のプロ」に、業界のことを何も知らない人間が、単に「今、売れているから参入しよう」という安直な考えで勝てるわけがないのです。
どんな業界でも「プロ」がいます。ですから、起業するということは、その業界のプロと競争しなければいけないのです。
「西宮・尼崎」で何十年も「会社設立」を請け負っていられる行政書士や司法書士の先生方はたくさんいらっしゃいます。行政書士としての経験の長さでいえば遥かに短い私が、そういった先生方と競争するには、自分としての武器が必要だと思っています。
私の場合、「『自分で会社を経営している』『サラリーマンとして働き、39歳で起業』した『旅行業、古物商、ホームページ制作といった広い範囲で事業を行ってきた』経験をもつ行政書士」という点を武器にして、起業家の目線と行政書士としての目線の両方で、いろいろなご提案をしていくことで、行政書士として土俵で勝負しようと思っています。
興味のある事を仕事にする
「趣味と仕事は別」とか「仕事は楽しいものではない」と言われた経験がある方もいらっしゃると思います。確かに、趣味と仕事は同じではないですが、興味のない事を仕事にしてしまうと、それこそ「仕事は楽しいものではない」ということになってしまいます。
私の経験から言いますと、仕事は楽しいです。楽しいからこそ、頑張れるし、続けられるのだと思います。
前述の中国への輸出のように、「これが儲かりそうだから、やってみよう」というだけの理由で事業内容を決めるのは非常に危険だと思います。
「売れているからやる」のであれば、逆を言うと「売れなくなったら、しない」と言うことになります。
「売れる(儲かる)事業をする」のではなく、自分が好きな事業を「どのようなやり方をすれば売れる(儲かる)ようになるか」を考えて行動に移すことで、その業界のプロとも競争出来るようになるのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回お話した、流行を追ってリスクを背負ってしまうというのは、まさに私がブランド品バックの仕入れをした時の痛い経験です。
起業をすると、特にそうなのですが、売れている商品の話しなどを聞くと、すぐにでも参入したくなることが多々あります。現在ではインターネットのお蔭で、割と簡単にいろいろなものを仕入れる事が出来ますので、新規にいろいろな分野に参入したくなったりもするものです。
しかし、どの分野でも、その分野のプロがいます。
何十年も同じ分野でやってきている人と競争するのは、相当な覚悟が要ります。
ちょっとやってみて「勝てないからやめよう」と参入と撤退を繰り返していては、いつまでたっても事業を安定させることが出来ません。(この参入と撤退を何度かすることは大変勉強になるのですが)
私は自身が失敗した結果、今回のような思いに至りました。この考えが正しいのか間違っているのかは判りませんが、みなさまの起業を検討される際の参考までにお読み頂けましたら幸いです。