「リサイクル品を販売するには古物商許可が必要だと聞いたんですけど、古物商許可ってなんなんですか?」とネットオークションで古着を販売している知り合いから聞かれたことがあります。
実は、中古品売買をする人すべてが古物商許可をとらなければならないわけではないのです。
それでは、古物商許可とはどのようなもので、何をする時に必要なのでしょうか?
今回は、古物商許可とはどういったもので、何をする為に必要なのか、また必要な場合はどのようにして申請すれば良いかを判りやすくご説明致します。
「古物商許可」って、何?
「古物」とは
そもそも、「古物」とはどうゆうものを指すのでしょうか?古物営業法という法律では古物を下記のように定義しています。
古物営業法 第2条
「古物」とは、一度使用された物品若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
つまり、中古品だけではなく、「自分で使おうと思って購入したのだけれど、結局使わないままのもの」も古物にあたることになります。ですから、最初から転売目的で購入した場合には、「使用のために取引されたもの」にあたりませんので古物とはなりません。
この古物営業法に規定される古物を、業として売買または交換する業者・個人のことを「古物商」といいます。
「古物商許可」とは
古物の営業を許可する「古物商許可」の最も重要な目的は、「取引される古物の中に窃盗の被害品等が混在するおそれがあることから、盗品等の売買の防止、被害品の早期発見により窃盗その他の犯罪を防止し、被害を迅速に回復すること」です。
例えば、盗品を中古品としてどんどん買い取る人が溢れてしまったら、すぐに現金化出来るので盗難を助長してしまいますよね。中古品(古物)売買は、特に盗難されたものの現金化の手段とされやすい為、買い取る側も許可制にして、管理する必要があるのです。
古物商は、誰から、いつ、いくらで買い取ったかと言う管理表を作っておかなければなりません。(この記録と3年間の保存をしなかった場合、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります)
盗品を持ちこんできても、買う側は盗品かどうか判りませんが、古物商は持ち込んだ人の身分確認を義務付けられているので「免許証の提示をお願いします」と言いますよね。そうなると「え、ここは面倒だなあ。ここで売るのはやめておこう。」となり、犯罪の抑止にもなるのです。
無許可で古物商を営業した場合は、10万円以下の罰金から3年以下の懲役又は100万円以下の罰金まで5段階の罰則があります。
もし個人で営業されていて「うちは少ししか商売していないから古物商許可なんて取らなくてもいいだろう」というお考えをお持ちでしたら、非常に危険です。
例えば、窃盗犯が警察につかまって、盗んだ品をあなたに売ったと供述したとします。そうなると、当然警察があなたのお店を調べに行きますので、その時に古物商許可がないとなれば、あなたも違法ということになってしまうのです。
ですから、古物商許可が必要な場合は、必ず古物商許可を取得しておきましょう。
何をする時に「古物商許可」が必要なの?
「業」として行う場合
「『業』として行う」というのは、ちょっと判り難い表現ですよね。これは法律用語で、各法律によって解釈が若干ことなりますが、基本的には「反復継続の意思をもって行うこと」です。
つまり、1回だけ売るつもりで、1回だけ売ったというような場合は「業」に当たらないのですが、継続して古物を仕入販売するような行為は「業」にあたります。
「古物商許可」が必要なケース
- 古物を買い取って販売。
- 古物を買い取って修理等手を加えて販売
- 古物の売買を仲介して、手数料を徴収。
- 古物を買い取ってレンタルして料金を徴収。
- 国内で買った古物を国外に輸出販売。
「古物商許可」が不要なケース
- 古物の買い取りを行わずに売却だけを行うとき(無償、又は取引料をとって引き取った古物を、修理して販売する場合等)
- 自分が売却したものを、その売却相手から買い受けることのみを行う場合
- 自宅用に購入し使用した品物、または使用するつもりで購入したが使用しなかった品物を営利を目的とせず売る場合
「古物商許可」ってどうやって申請するの?
【STEP1】資格を確認する
以下の項目に該当される方は、古物商許可が取れませんので、まずは以下の項目に該当されていないかをご確認頂く必要があります。
- 成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者
- 禁錮以上の刑、又は特定の犯罪により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
- 住居の定まらない者
- 古物営業の許可を取り消されてから、5年を経過しない者
- 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
【STEP2】管轄の警察署へ行く
古物の営業所(事業を行う拠点)の所在地を管轄する警察署(尼崎市と西宮市の管轄は後述します)の「古物商担当」の係の方へアポイントを取ります。窓口へ行って、「古物商許可申請をしたいのですが」と伝えれば、担当の方を呼んで頂けます。当日いきなりは担当の方の時間も無いと思いますので、通常は後日改めて会うアポイントを取ることになります。
後日お会いした時に、申請に必要な「記載書類」と「記入箇所」の説明を受けます。
記載書類は主に下記のようなものです。(地域によって異なりますので、詳細は管轄の警察署にご確認下さい)
- 古物商許可申請書
- 誓約書
- 略歴書
- 使用許諾書
- その他
【STEP3】必要書類を用意する
管理者の決定
古物許可申請にあたって、申請をする営業所の「管理者」という責任者を決める必要となります。申請名義人(又は法人代表者)と同じでも構いません。その場合は問題ないのですが、申請名義人(又は法人代表者)と管理者が異なる場合は、管理人の分の書類も必要になります。
必要書類
警察署でもらった申請書類以外に下記の書類が必要になります。管轄の警察署によって提出書類が異なる場合がございますので、申請の際には必ず管轄の警察署にご確認下さい。
【 市町村役場 】
- 住民票(本籍記載)
- 身分証明書
【 法務局 】
- 登記されていないことの証明書
- 登記簿謄本(法人のみ)
【ご自身で用意】
- 定款のコピー(法人のみ)
- 営業所の賃貸契約書の写し(法人のみ)
- 建物所有者(又は管理会社)の使用承諾(法人のみ)
【その他】
管轄の警察署によって追加で必要になる書類がありますので、事前に申請する警察署にご確認下さい。
法人で申請する場合の注意点
法人名義で申請する場合は、法人役員全員の「住民票」「身分証明書」「登記されていないことの証明書」が必要になります。
【STEP4】申請をする
警察署でもらった書類に必要事項を記入・押印して提出します。突然持ち込むようなことはせずに、担当者の方に電話でアポイントを取ってから提出しましょう。書類が全て揃っていれば受理されます。この時に19,000円の証紙を窓口で購入して申請は完了となります。
【STEP5】古物商許可
申請からはおおよそ40~60日間で許可(又は不許可)の連絡が来ますが、申請の混み具合によって少し早くなったりすることもあります。許可がおりたら警察署より電話で連絡がきます。
警察から連絡が来たら古物許可証を警察署へ直接受取に行きます。その際に、古物商を始めるにあたっての注意点や、営業開始の際に必要な「古物商許可プレート」の説明があります。プレートはインターネットなどでも安く作れるところがたくさんありますので、調べてみて下さい。
インターネットで古物の取引を行う場合の注意点
古物商が「自身でホームページを開設する」、「オークションサイトにストアを出店する」場合は、開設等から2週間以内に管轄の警察署へURLの届出が必要です。ホームページを開設してから届出をします。
単なる会社のホームページ等、古物に関する情報の記載がない場合や、オークションサイトに1点ずつ出品する場合は、届出の必要はありません。届出たURLを変更した場合、閉鎖した場合も届出が必要ですのでご注意ください。
古物許可申請にかかる費用
古物許可申請の手続料として19,000円かかります。これは警察署の会計係窓口で納入します。不許可となった場合や申請を取り下げた場合でも、手数料は返却されませんのでご注意下さい。
直接の申請費用ではないのですが、会社の定款に「古物営業法に基づく古物商」といった目的が書かれていない場合は古物商許可がとれませんので、定款を変更する必要があります。その目的の変更費用(登録免許税)が30,000円かかります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
古物許可は管轄警察署によって微妙に提出書類などが異なるので、インターネットの情報を基にしながら、管轄の警察署に確認をすることがスムーズに申請をするポイントです。警察署の担当者の方の説明は必ずメモを取るようにしておいて下さい。
申請自体はそんなに難しいものではないので、平日に時間がとれて、ある程度書類作成などの時間を取る余裕のある方は是非ご自身で申請されてみて下さい。