私の事務所には介護タクシーに関する申請のご依頼をいただくこともあります。
「自分で申請しようと思ったら、予想以上に判り難くて・・・」と言われる方も多くいらっしゃいます。
介護タクシー申請には独特の審査基準もありますので、その点に十分気をつけなければいけません。
ここでは、一例として申請方法をご紹介しますが、受領を保証するものではありませんので、ご自身で申請される場合は必ず運輸局に直接確認して下さい。
また運輸局によっての違いもありますので、必ず所轄の運輸局にご相談下さい。
※2017年2月24日時点の情報です。
介護タクシーとは
介護タクシーと呼ばれる事業は主に「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)」と「特定旅客自動車運送事業」に分けられます。
それぞれが、どのような規定をされているのかをご説明したいと思います。
一般旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)とは
いわゆる介護タクシーと呼ばれるサービスです。
一般旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)は、1個の契約により乗車定員11人未満の自動車を貸し切る形態の事業です。
輸送範囲は、府県単位の営業区域によるものとされています。
介護保険の適用は出来ません。
個人・法人ともに申請は可能です。
利用出来る人
契約できる人は、要介護者、要支援者、身体障害者、肢体不自由等により単独での移動が困難な人とされています。
具体的には以下に挙げる項目に該当する方が利用できるサービスとなります。
- ① 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
- ② 介護保険法(平成9年法律第123号)第19条第1項に規定する要介護認定を受けている者
- ③ 介護保険法第19条第2項に規定する要支援認定を受けている者
- ④ ①~③に該当する者のほか、肢体不自由、内部障害、知的障害及び精神障害その他の障害を有する等により単独での移動が困難な 者であって、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが 困難な者
- ⑤ 消防機関又は消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者
特定旅客自動車運送事業とは
特定旅客自動車運送事業とは、ある特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送することのみを事業とする旅客自動車運送事業です。
介護分野での特定旅客自動車運送事業は、介護保険法の介護事業の指定を受けている介護サービス事業者が要介護認定者のみを自宅等と介護報酬の支払い対象となる医療施設等との間の送迎輸送を行う事業です。
(身体障害者福祉法・知的障害者福祉法・児童福祉法の支援費事業の指定を受けている事業者が支援費制度における支援費の支払い対象となる行為と連動した輸送も含みます)
いわゆる介護保険タクシーと呼ばれるサービスです。
申請者は指定訪問介護事業者に限られます。
輸送範囲は、ケアマネージャーの作成したケアプランに基づく、病院・医療施設その他、介護施設、公的手続きのための施設等となります。(介護報酬の支払い対象となる必要あり)
ケアプラン以外の輸送(観光等)には利用できません。
このページの許可申請に関して
このページでは「一般旅客自動車運送事業(介護タクシー)」の許可申請に関してご説明します。
特定旅客自動車運送事業(介護保険タクシー)ではございませんので、ご注意下さい。
会社を作る前でも申請できる?
介護タクシー事業は法人として始めたいけれど、まだ会社は作っていないという人もいらっしゃるかもしれません。
会社を設立した後で申請をして、万が一営業許可が出なかった場合、会社の設立費用が無駄になってしまいますよね。
介護タクシーの申請は、会社設立を前提として設立前に営業許可申請をすることもできます。
実際、私も会社設立前の申請をしたことがあります。
しかしこの方法はあまり一般的ではないようで、書類の書き方や事務所の賃貸借契約書の文面など注意が必要です。
このやり方で申請される場合は行政書士に依頼されることをお勧めします。
介護タクシーの許可を取るために必要な要件
介護タクシーの営業許可を取得するためには運営管理面の「人的要件」、自動車や営業所、車庫、休憩施設などの「設備要件」、開業する為の自己資本金額などの「資金要件」の3つの要件があります。
それぞれの要件の中に、さらに細かく要件が設定されています。
それでは、介護タクシーの営業許可を取得するための要件を判りやすくご説明したいと思います。
管理運営面の要件
私の事務所の場合、近畿運輸局への申請になりますが、ご相談に来られた方で、この人的要件で諦められてしまうケースもありますので、十分気を付けて下さい。
運転者(ドライバー)
運転者とは文字通り、介護タクシーを運転する人です。
介護タクシーの運転者は2種免許が必要になります。
使用する車両が介護車両ではなく一般車両の場合は、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- ケア輸送サービス従事者研修を修了していること。
- 介護福祉士の資格を有していること。
- 訪問介護員の資格を有していること。
- 居宅介護従業者の資格を有していること。
運行管理者
介護タクシーを開業する場合、常勤の運行管理者を選任しなければいけません。
「常勤」が条件ですので、アルバイトや他の会社との兼業では運行管理者にはなれなれません。
運行管理者は、車両台数が5台以上の場合は「運行代理者資格」を取得する必要があります。(運行代理者試験センター)
車両台数が4台以下の事業所の運行管理者は資格は不要です。
運行管理者とは以下のような管理を行う人です。
(1)運転者の勤務時間等の適正管理
乗務記録、運行記録計により乗務時間を把握し、運転者の適切な勤務時間、乗務時間の設定や必要に応じて交替運転者を配置する等、乗務員の適正な勤務体制を確立する。(2)点呼による運転者の健康状態の把握等
運転者に対して、乗務前、乗務後に点呼を実施し、運転者の疲労、健康状態の確認を行い運行継続可否の決定を行うとともに、悪天候時の運行経路の変更など安全な走行を確保するため具体的な指示を行う。(3)運転者に対する指導監督
運行の安全を確保するため、運転者に対して常日頃から指導監督を行い、安全関係法令等を遵守の徹底を図る。
この管理内容を見て頂くと判るように、運行管理者は運転者(ドライバー)の点呼や安全確保のための指導監督を行ったり、疲労や健康状態なども把握して安全走行を確保する役割ですので、運行管理者は運転者(ドライバー)との兼務はできません。
後述しますように、整備管理責任者と指導責任者は運行管理者との兼任は可能です。
整備管理責任者
整備管理責任者とは、車両の点検や整備、車庫の管理などを行う人です。
車両が5台以上の事業所の整備管理者は資格が必要になりますが、4台以下の事業所では特に資格者である必要はありません。
自動車整備会社に委託するような、整備管理責任者の外部委託は出来ませんのでご注意下さい。
整備管理者と運行管理者の兼務は可能です。
指導責任者
指導責任者には特別な資格はありませんので、どなたでも就任出来ます。
指導責任者も運行管理者と兼務が可能です。
営業所の要件
次に営業所、自動車、車庫などの設備に関する要件を見ていきましょう。
営業区域内に営業所があること
営業区域内に営業所がある必要があります。
例えば、神戸に営業所があって、大阪市内で営業するということはできません。
3年以上の土地建物の使用権原をもっていること
申請者が、土地、建物について3年以上の使用権原をもっている必要があります。
どのように「3年以上の権原をもっているか」を判断するかと言いますと、土地や建物が自己保有の場合は登記簿謄本で自己保有であることを確認します。
借用の場合は契約期間が概ね3年以上と明記されている賃貸借契約書(コピー可)を提示して、使用権原をもっていることを確認します。
ただし、賃貸借契約期間が3年未満であっても、契約期間満了時に自動的に当該契約が更新されるものと認められる場合に限っては、使用権原を有するものとみなされます。
土地建物が違法ではないこと
申請にあたっては、以下のように営業所や車庫、休憩施設などが建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等の関係法令い違反していない旨の宣誓書を提出します。
道路運送法第5条第1項第3号に規定する事業計画のうち営業所・自動車車庫・休憩仮眠施設については、建築基準法(昭和25年法律第201号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、消防
法(昭和23年法律第186号)、農地法(昭和27年法律第229号)等の関係法令に抵触しないことを宣誓致します。なお、万一事実と相違したときは、何時許可の取消処分を受けても異議を申しません。
こういった法令に違反している土地や建築物になっていないかを必ず確認しましょう。
自動車の要件
土地建物と同じように、自動車に関しても、申請者が使用権原をもっていることが要件になります。
自動車を購入した場合は、購入した時に契約書(許可を前提とする仮契約書又は購入を前提とする見積書を含む。)の提示又は写しを提出することで、使用権原をもっているものされます。
リース車両については、リース契約期間が概ね1年以上であることが必要になります。
リース期間が1年以上あるリースの契約書(許可を前提とする仮契約書又は見積書を含む。)の提示又は写しを提出することで、使用権原を有するものとされます。
自動車車庫の要件
自動車の車庫に関しても、さまざまな要件が規定されています。
それでは、一つ一つ要件を見てきましょう。
車庫の位置
自動車の車庫は、原則として営業所に併設するとされています。
ただし、併設できない場合は、以下のように運行管理などの管理が十分可能であることを条件に営業所から直線で2キロメートル以内の営業区域内に設置が認められています。
- 1営業所に対して著しく多くの自動車車庫を設置する等不自然な形態での事業用自動車の分散配置は、適切な運行管理が行われないおそれが高いことから認めないこととする。
- 運行管理をはじめとする管理については、運行管理のほか、事業用自動車の車内の掲示、点検整備、応急用器具等の備付等の管理であって、事業計画に照らし個別に判断することとする。
車庫の大きさ
車両と自動車車庫の境界及び車両相互間の間隔が50cm以上確保さ れている必要があります。
つまり前後左右50cm以上の隙間を確保しなければいけないので、車庫の大きさとして、1台につき車の長さ+縦横1m以上の幅が必要になります。
さらに、「営業所に配置する事業用自動車の全てを収容できるものであること」とされています。
営業所の事業用自動車が3台なのに、2台分しか車庫の大きさが無いというのは認められません。
車庫の区別
事業用の車の車庫は、他の用途に使用される部分と明確に区画されていること。
一般の車の車庫にしたり、車が無い時は別の用途に使うようなことは出来ません。
申請者の使用権原
営業所の土地建物と同じように、車庫に関しても申請者が3年以上の使用権原をもっていることが条件になります。
使用権原の確認方法も、営業所と同じように、自己保有の場合は登記簿謄本、借用の場合は契約期間が概ね3年以上の賃貸借契約書の提示又は写しの提出をもって確認します。
「賃貸借契約期間が3年未満であっても、契約期間満了時に自動的に当該契約が更新されるものと認められる場合に限っては、使用権原を有するものとみなす。」という点も同様です。
法令遵守
法令遵守に関しても土地建物と同じように、建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令の規定に抵触しないものであり、その旨の宣誓書の提出があることが義務付けられています。
自動車の点検・整備・掃除の施設
ここは少し注意が必要です。
介護タクシーの許可の要件として「事業用自動車の点検、整備(自動車点検基準(昭和26年運輸省令第70号)第6条に規定されている調整をいう。)及び清掃のための施設が設けられていること。」という要件があります。
自動車点検基準 第六条 法第五十六条 の技術上の基準は、次のとおりとする。
三 自動車車庫は、次の表に掲げる測定用器具、作業用器具、工具及び手工具(当該自動車車庫に常時保管しようとするすべての自動車に備えられているものを除く。)を有すること。
測定用器具 作業用器具、工具 手工具 イ 物さし又は巻尺
ロ タイヤ・ゲージ
ハ タイヤ・デプス・ゲージ
ニ (蓄電池の充放電の測定具)イ ジャッキ又はリフト
ロ 注油器
ハ ホイール・ナット・レンチ
ニ 輪止め
ホ (タイヤの空気充てん具)
ヘ (グリース・ガン)
ト (点検灯)
チ (トルク・レンチ)イ 両口スパナ
ロ ソケット・レンチ
ハ プラグ・レンチ
ニ モンキー・レンチ
ホ プライヤ
ヘ ペンチ
ト ねじ回し
チ (ハンド・ハンマ)
リ (点検用ハンマ)プラグ・レンチについては、ジーゼル自動車のみの車庫には適用しない。
括弧内のものは、有していることが望ましいものを示す。
「清掃のための施設」というのは、具体的に言いますと「水道」です。
意外とこの「水道」が盲点になる場合もありますので、ご注意下さい。
車庫の出入口と前面道路
自動車の車庫の出入口は、自動車の出入りに支障のない構造で、前面道路が車両制限令(昭和36年政令第265号)に抵触していないことが必要です。
また、前面道路が私道の場合、その私道を通行することができる権利(使用権原)をもっている人の承認が必要です。
また、その私道に接続する公道が車両制限令に抵触しないものでなければいけません。
これらの条件を満たしているかの確認のために、前面道路(公道)又は私道に接する公道について、道路幅員証明書の提出をします。
但し、車両の出入りに支障のないことが明らかな場合(前面道路が国道の場合)は道路幅員証明書の提出の必要はありません。
休憩、仮眠又は睡眠のための施設の要件
休憩、仮眠又は睡眠のための施設に関しても、原則として営業所又は自動車車庫に併設されているものであることが求められます。
ただし、併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2キロメートルの範囲内にあればよいとされています。
施設の大きさや設備は「事業計画を的確に遂行するに足る規模を有し、適切な設備を有するものであること。」と規定されています。
車庫と同じように「他の用途に使用される部分と明確に区画」されていることも必要です。
さらに、事業計画に照らし運転者が常時使用することができるようにします。
3年間の使用権原を持っていることと法令を遵守しその旨の宣誓書を提出する点も、事業所の土地建物や車庫と同じ要件となっています。
資金要件
それでは最後に「資金要件」を見てみましょう。
介護タクシーの許可には、厳しい資金要件があります。
「え?そんなにお金を用意しなければいけないんですか!?」と驚かれる依頼者様もいらっしゃいますので、十分注意して下さい。
資金計画
介護タクシーの許可申請には「所要資金及び事業開始に要する資金の内訳」というものを作成します。
この内訳にある「所要資金の見積りが適切であり、かつ、資金計画が合理的かつ確実なものであること。」が求められます。
具体的には以下のような項目を記入してきます。
- (ア)車両費 取得価格(未払金を含む)又はリースの場合は1年分の賃借料等
- (イ)土地費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
- (ウ)建物費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等
- (エ)機械器具及 取得価格(未払金を含む)び什器備品
- (オ)運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費等の2か月分
- (カ)保険料等 保険料及び租税公課(1年分)
- (キ)その他 創業費等開業に要する費用(全額)
自己資金
先程計算した所要資金の50%以上、かつ、事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されていなければいけません。
「事業開始当初に要する資金」とは、次の(ア)~(ウ)の合計額です。
(ア)資金計画(ア)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、リースの場合は2か月分の賃借料等。ただし、一括払いによって取得する場合は、資金計画(ア)と同額とする。
(イ)資金計画(イ)及び(ウ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金、又は、2か月分の賃借料及び敷金等。ただし、一括払いによって取得する場合は、資金計画(イ)及び(ウ)と同額とする。
(ウ)資金計画(エ)~(キ)に係る合計額
自己資金には、当該申請事業に係る預貯金のほかにも、運輸局長の判断により預貯金以外の流動資産を含めることができる場合もあります。
預貯金以外の流動資産額については、原則として申請日時点の見込み貸借対照表等をもって確認されます。
介護タクシー許可申請の流れ
介護タクシーを開業するには、許可申請書の提出以外にもやらなければいけない作業があります。
それでは、どのような流れで介護タクシーの事業を開始するのかをみてみましょう。
申請書の提出
介護タクシーの許可をとるために必要な要件で見ました項目を記入した申請書を提出します。
申請書は、乗用事業許可申請(道路運送法第4条)と運賃及び料金の認可申請(道路運送法第9条の3)に規定されている2種類の書類を提出します。
提出場所
大阪で介護タクシーを開業する場合、寝屋川市にある「近畿運輸局 大阪運輸支局」に書類を提出します。
〒572-0846 大阪府寝屋川市高宮栄町12番1号
電車で行く場合は京阪寝屋川市駅からバスで3つめの停留所「電気通信大学前」が最寄りの停留所になります。
歩いて行く場合は15分から20分くらいだと思います。
許可申請書の提出
正式には「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)経営許可申請書」と呼ばれる申請書を、開業予定の営業所がある場所を管轄する運輸局支局に提出します。
申請書を印刷する場合はA4の大きさで印刷して、左とじにして提出します。
本通1部と控え2部の合計3部作成して提出します。
提出した書類に不備がある場合や添付書類の不足がある場合は、補正指示といって「ここは修正が必要です」「この書類を添付して下さい」といった指示があります。
添付漏れがあったからといって、即不許可になることはありませんが、補正指示に従わず、必要な要件を満たさないと判断されると不許可になる場合があります。
運賃及び料金認可申請書
開業した後の運賃設定を申請します。
通常は地域ごとに定められた「自動認可料金」という料金幅の範囲内で設定します。
料金には「距離制」「時間制」「距離時間併用制」の3種類があります。
距離制及び距離時間併用制を選択した場合は、必ずタクシー料金メーターを設置しなければいけません。
法令試験及び事情聴取の実施
介護タクシーの許可申請書を提出した後に、法令試験を受けて合格しなければいけません。
法令試験とはどのような試験なのかを2017年3月7日(火)を例にご説明します。
実施場所
大阪合同庁舎4号館
大阪市中央区大手前4丁目1-76
(地下鉄谷町線又は中央線「谷町4丁目駅」⑤出口すぐ)
試験の受験者
試験の受験者は申請者本人です。
申請者が法人である場合は、代表権を有する常勤役員が受験者となります。
受験者の確認
実施当日の試験開始前に、受験者が申請者本人であることを運転免許証等で確認します。
また、取締役会非設置会社であって、代表権を有する常勤の役員であることを証するに足る書面を提出していない場合は、これらの書面の提出を求め確認します。
試験の実施時期等
試験については、原則として毎月1回の実施です。
実施予定日の7日前までに、実施日時、実施場所その他の必要事項が申請者あてに通知されます。
近畿運輸局の場合、月末までに申請を提出して翌月の7日~10日頃の試験が一般的です。
申請時に同時に試験申し込みの用紙(法令試験の受験者名簿)をもらって必要事項を記入して提出してもいいですし、後から近畿運輸局(本局)へFAXまたは郵送することもできます。
但し、7日前までに提出する必要がありますので注意して下さい。
例えば2017年3月の法令試験は3月7日(火)に行われますので、2月28日までに「法令試験の受験者名簿」が近畿運輸局に受理されている必要があります。
試験の出題範囲
- 道路運送法
- 道路運送法施行令
- 道路運送法施行規則
- 旅客自動車運送事業運輸規則
- 旅客自動車運送事業等報告規則
- 自動車事故報告規則
- その他一般旅客自動車運送事業の遂行に必要な法令等
設問形式等
出題数、時間、設問形式に関しては以下のように定められています。
- 出題数 30問
- 設問方式 正誤式(○×式)
- 試験時間 40分
- 合格基準 正解率80%以上(24問以上正解)
持ち物
- 自動車六法(持込み可)
- 筆記用具
- 運転免許証(又はパスポート、健康保険証など本人確認できるもの)
合格・不合格の扱い
合格者及び不合格者に対しては速やかにその旨が通知されます。
試験に欠席した場合は、不合格として取り扱われます。
ただし、事前に欠席の連絡をした場合には、試験日を再調整の上、実施される可能性もありますので、直接ご確認下さい。
審査基準に基づく審査
審査は公示基準に基づいて行われます。
基準に適合しない場合は却下の対象になります。
許可処分
標準処理期間は、大阪運輸支局で申請書が受理されてから3ヶ月と定められています。
この標準処理期間というのは、提出された申請書類に不備が場合ですので、補正が必要な場合はその補正を処理する期間により標準処理期間を越えることがあります。
許可書の交付
「許可書」は、申請書を提出した運輸支局から交付されます。
ここで注意しなければいけないのは、許可が出ても、直ちに事業を開始することは出来ないという点です。
許可書が交付された後にも、営業を開始するために必要な手続きがありますので、ご注意下さい。
これらの手続きは、許可後に管轄運輸支局から説明があります。
事業の開始
事業を開始されましたら、運輸開始届を管轄運輸支局に提出します。
この届出が受理されて、すべての手続きが終了です。
介護タクシー許可申請に必要な書類
介護タクシーの許可申請には法人、個人事業主で提出する書類が異なります。
また提出を求められる書類も異なる場合がございますので、詳しくは所轄の運輸局支局へお問い合わせ下さい。
ここでは一例としてご紹介します。
主な提出書類
- 一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)の経営許可申請書
- 事業計画
- 所要資金及び事業開始に要する資金の内訳
- 資金の調達方法を記載した書面
- 自動車の運行管理等の体制
- 申請日直近(申請日より 2 週間以内)の金融機関発行残高証明書
- 宣誓書
- 施設付近地図(営業所と車庫が離れている場合は直線距離を記入)
- 施設案内図、見取図、平面図(求積図)
- 施設の使用権限を証する書類
- 道路幅員証明書もしくは車庫前面道路が車両制限令に抵触しない旨の証明書
- 事業用自動車の使用権限を証する書類
- 任意保険加入の見積書(対人 8,000 万円以上、対物 200 万円以上)
- 事業用自動車の諸元、装備等に関する資料(パンフレット類、現有の場合は車両の写真)
- 写真(営業所内部、休憩仮眠施設内部、車庫、前面道路等)
- 運行管理者(補助者)就任承諾書
- 運行管理者資格者証の写し(配置する車両が5両以上の場合のみ)
- 整備管理者(補助者)就任承諾書
- 整備士資格を証する書面等の写し(配置する車両が5両以上の場合のみ)
- 運転者就任承諾書
- 普通自動車二種免許証及び大型自動車二種免許証の写し
- 運転者名簿
- 訪問介護員等の資格を証する書面の写し(セダン型等の一般車両を使用する場合のみ)
- 勤務交番表(管理職員及び運転者の勤務日、休日、労働時間、休憩時間を明らかにしたもの)
- 苦情処理に関する規定
- 苦情処理簿
- 就業規則 法人 賃金規定
- 運行管理規定
- 運転者に対して行う指導要領
法人の場合に必要な提出書類
- 定款又は寄附行為(定款にあっては、目的に「一般乗用旅客自動車運送事業」が必要)
- 登記簿の謄本(目的に「一般乗用旅客自動車運送事業」が必要)
- 直近の事業年度における貸借対照表
- 役員名簿(常勤、非常勤を記入したもの)
- 役員全員の履歴書
- 会社経歴書(沿革)
個人事業主の場合に必要な提出書類
- 財産目録
- 個人 戸籍抄本
- 履歴書
法人格なき組合の場合に必要な提出書類
- 組合契約書の写し
- 組合員の資産目録
- 組合員の履歴書
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「思っていたよりも面倒だなあ・・・」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
介護タクシーの開業は申請書の作成も重要ですが、法令試験などもございますので、開業日までのスケジュールをきちんと建てて申請されることをお勧めします。
お問合わせ
大阪での介護タクシーの申請のご相談は以下のフォームからお気軽にご連絡下さい。
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