【定款の作り方】雛型で大丈夫?定款を作る時にチェックするポイント

[記事公開日]2015/12/06
[最終更新日]2016/02/07
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定款の作り方

「とにかく会社を作れればいいから、ネットで定款の雛型ダウンロードして、名前だけ書き換えて作ろう。」と考えている方はいらっしゃらないでしょうか?何も考えずに会社名だけ変えて作成すると、せっかく考えた会社名が登記できなかったり、会社設立後に定款を変更しなければならず、余計な出費が必要になる場合もあります。

「うちは一人の会社だから、どんな内容でも関係無いや」とは思わないで下さい。雛型を使って作成されるにしても、今後の事業展開などを考えて、以下のポイントを踏まえてじっくり作成して下さい。

今回は、定款を作成する時の注意点を判りやすくご説明したいと思います。

 

定款とは

定款は「会社の憲法」とも呼ばれ、会社を運営していく上で非常に重要なものなのです。会社法に則って、「事業目的」や「本店住所」以外に「取締役会などの機関設計」「発行株式の種類」「重要事項の決定方法」などの会社の基本的な規則を定款で決めます。

 

絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項を指します。この絶対的記載事項の記載がない場合、定款全体が無効となります。絶対的記載事項は以下の項目となります。

 

商号

商号は法律で決められたルールに則って決めなければなりません。以下、商号で決められたルールをご説明します。(株式会社の場合)

 

「株式会社」を商号の中に入れる

株式会社○○又は○○株式会社のように、商号の中に「株式会社」という文字を入れなければなりません。「株式会社」は漢字でいれなければならず、「かぶしきがいしゃ○○」や「カブシキガイシャ○○」は認められません。

 

同一所在場所における同一商号の登記の禁止

NG既存の他の会社と商号及び本店の所在場所を同一とする内容の設立の登記は出来ません。

つまり同じ本店所在地(本店所在地は市区町村までしか登録しない場合があります)で同じ商号の登記は出来ません。

ただし「○○株式会社」と「○○合同会社」は同一の商号にはなりませんので、同じ本店所在地であっても登記は可能です。

このルールであれば、「『パナソニック』や『トヨタ自動車』のような有名企業の名前も申請出来るじゃないか」と思われるかもしれませんが、相手の会社から差し止めや損害賠償請求などで訴えられる可能性もありますので、誰もが知っている有名な会社や、世間一般ではあまり知られていなくてもあなたの設立する会社と同じ業界で有名な会社と同じ名前にするのは避けましょう。

 

使用出来る文字を使う

会社の商号として使える文字は下記の通りです。

  • 漢字
  • ひらがな
  • カタカナ
  • ローマ字(大文字・小文字)
  • アラビア数字
  • 一定の符号「&」「’」「,」「-」「.」「・」

上記以外の「!」や「Ⅲ」などの文字は使用することが出来ません。

 

事業目的

会社を設立する際には、どのような事業を行うのかを定款に記載しなければなりません。つまり、その記載された事業内容のみを行うことができ、定款に記載していない事業を行うことはでないということになります。

特に許認可事業の場合は、定款の目的にその許認可事業に関する記載がなければ、許認可がおりないという場合がありますので、その場合には定款を変更しなければならなくなります。

定款の変更は手間がかかるだけではなく、費用(登録免許税)もかかりますので、将来会社で行う可能性のある事業は定款に記載しておくことをお勧めします。

定款の変更に関しましては『定款変更のやり方と押さえておきたい注意点』をご参照下さい。

 

本店所在地

本店所在地というと、何丁目何番地まで書かなければいけないと思いがちですが、実は定款に記載する本店所在地は「最小行政区」まででいいのです。最小行政区というのは、東京都であれば特別区である「区」、政令指定都市であれば「市」(政令指定都市の区は行政区と言って最小行政区にはなりません)、それ以外は市町村を指します。

例えば、本店所在地が東京都新宿区の場合、「東京都新宿区」のように区まで記載が必要ですが、大阪府大阪市中央区の場合は「大阪市」までで大丈夫です。

もちろん1丁目1番地のように番地まで記載しても構わないのですが、もし本店所在地を移転する場合、定款を変更しなければならないので、費用が発生します。

最小行政区までの記載の場合、同じ最小行政区内の移動であれば定款の変更は必要ありません。

本店移転に関する定款変更は『定款変更が必要な場合』をご参照下さい。

 

設立に際して出資される財産およびその最低額

費用これは「資本金」と同じように見えますが、実は違うのです。なんでこんな判り難い表現になっているかというと、理由があるのです。

株式会社は登記申請時までに資本金を決定するのですが、定款作成から登記までの間に予定の出資金が集まらないという事態も想定されるのです。つまり定款で1000万円と決めていてもお金を出さない出資者が出てきてしまい500万円しか集まらないという可能性もあります。実際には1000万円の資本金の予定でも、出資が履行されないことが予想される場合は最低額を記載しておけば、最低額以上であれば会社の設立は出来ることになります。

一人社長や身内同士のように確実に出資が履行されるという場合は、「設立に際して出資される財産の価額及び資本金」として出資金額をそのまま記載するのがよいでしょう。

 

発起人の氏名および住所

発起人の氏名及び住所は印鑑証明に書かれている内容と全く同じように記載します。本店所在地と違い、番地まで正確に記載しなければなりません。

例えば「1丁目1番1号」と印鑑証明に書かれている場合、「1-1-1」のように省略することは出来ません。

当事務所でも「○番×号」と伺っていたご住所が、印鑑証明には「○番地×」といった記載になっていたものもございましたので、必ず印鑑証明と見比べて確認をして下さい。

 

発行可能株式総数

発行可能株式総数とは、将来に渡って発行可能な株式の総数のことです。定款認証時に定めておく必要はありませんが、原始定款に記載が無い場合は、会社の成立のときまでに定款を変更して定める必要があります。

これは会社設立時に発行しなければいけない株数ではなく、今後発行出来る株式の数ですので、設立時に全部発行する必要はありません。

例えば資本金500万円、1株1万円とした場合、(株式譲渡制限を設定している非公開会社であれば)500株以上の何株で設定しても構いません。(公開会社の場合は「設立時に発行する株式の数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることが出来ない」とされています。)

将来的にはこれくらいあれば大丈夫かな、と考えた場合の株数を目安に設定されるのが良いでしょう。

 

相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に記載がなくても定款自体の効力は有効なのですが、定款に定めていない場合は、その事項の効力が認められない事項を指します。相対的記載事項は非常にたくさんありますので、以下に代表的なものを挙げます。

 

株式の譲渡制限

株式の譲渡制限とは、ある株主が、誰かに「株式を譲渡する場合には、取締役会、あるいは株主総会の許可を得なければ譲渡できない」という制限をかけることです。

発行するすべての株式について、定款で譲渡制限を定めている会社を「非公開会社」と言います。

株主は会社の経営に対しても意見を言う事が出来ますので、この規定があれば、会社が望まない人物に自社の株式をもたせないようにすることができます。

 

取締役等の任期

上述した「非公開会社(発行する全ての株式の譲渡制限をしている会社」は定款で定めることにより、取締役・監査役・会計参与の任期を10年に伸長できます。

例えば一人社長の場合、ずっと取締役である可能性が高いと思うのですが、任期の伸長を定めず任期が2年となっていたら、2年おきに定款の変更をしなければなりません。

その場合、定款変更の登録免許税が1万円(資本金1億円以上の会社は3万円)かかることになります。

一人又は身内のみの会社の場合は、この取締役の任期を10年に伸長する旨を定款で定めるのをご検討されると良いでしょう。

 

株券発行の有無

株券は原則として「不発行」ですので、定款で株券を発行する旨の定めがある場合に限り、株券を発行することができます。

株券を発行するのはコストもかかり、流動性も低い等、あまりメリットがありませんので、定款には記載しないか、あるいは確認の意味で「株券は発行しない」とするのが良いでしょう。

 

任意的記載事項

任意的記載事項とは、その記載がなくてもその効力が否定されるわけではないのですが、会社が任意に会社の基本的事項として、あえて定款の中に記載した事項をいいます。

これも該当する事項がたくさんありますが、小規模の会社を設立する場合は記載しなくても済むものがほとんどです。その中でも質問が多い公告の方法に関してご説明します。

 

公告の方法

株式会社では、事業年度ごとに決算を公に告知(公告)しなければなりません。公告には主に以下の2つの方法のどちらかが選択されます。(日刊紙で公告をする方法もありますが、あまりに費用がかかるため中小企業ではほとんど選ばれない方法です)

 

官報に掲載

定款に定めが無い場合は、官報に掲載することでの公告方法になります。2015年12月現在で約6万円程度かかります。

 

電子公告

電子公告を公告方法とする場合、「当会社の公告方法は、電子公告とする。」と定款に定めます。(5年間の公告が義務)

 

まとめ

まとめいかがでしたでしょうか?

定款を自分で一から作るのは大変ですので、雛型を使って作成するのは良いと思うのですが、きっちりとポイントを押さえて、重要な項目は「自分の会社はどう設定するべきか」を考えて作成しなければ、後になって定款を変更しなければならないといったことになる可能性もあります。

定款の変更は登録免許税という登記費用がかかるものが多いので、後からの出費を防ぐ意味でも、定款作成の時点でしっかり考えて「あなたの会社の憲法」を作って行って下さい。

 

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1970年生まれ 千葉県木更津市出身 早稲田大学政治経済学部卒 2015年現在、行政書士事務所以外に2つの株式会社を経営する起業家でもある。スモールビジネスで起業する人へのサポートを得意とする。 2009年 某大手電機メーカー退社 2009年 旅行会社の株式会社旅晴好(ろはす)設立 2015年 WEB制作会社 株式会社リヒトス設立 2015年 よこぜき行政書士事務所開設